フェミニストが男性に食事代を出してもらうのは矛盾しているか?【後編】

※この記事は2回連載記事の第2回です。前編はこちらから。


2.フェミニストが男性に食事代を出してもらうのは矛盾しているか

得てして私はフェミニストであると自認するようになった。

特別そのために活動をしたわけではないけれど、そういう自己認識を持つようになった。

酒の力でセクハラまがいの言動を見せる管理職のオジサンを棚に上げて、“女の品格”を説く先の商社マンの言葉に反発してみたり、「女は生物学的に家事に向いているし、男は子育てに向いていない」と真顔で語る男友達に嚙みついたりもした。

その一方で、男性と食事に行って、ごはん代を多めにだしてもらったとすると、それに「女だからってナメないでよ!」と頑なに拒否して同額出そうとする…ということはなく、私は相手の厚意を甘んじて受け入れる。


「それって矛盾してね?」


ある日、仲の良い男友達の何気ない指摘に、はたと自分も首を傾げたのであった。

議論の場では男女平等を掲げておきながら、プライベートの局面では女性として扱うことを求めているという、矛盾した欲求を、果たして自分は心の中に抱えているのであろうか、

確かに、重い荷物をさりげなく持ってもらうのも、食事代を多めに出されるのも、正直に言って、嬉しいのである。でもそれは、重い荷物を持たなくてもよくなったから、食事代の2,000円が自分の財布から消えていかなかったから嬉しいのでは、決してないだろう(…まぁ、それもちょっとくらいはあるかもしれないけど)。

かといって女性として扱われて嬉しいのでもなく、それはきっと、自分が他人に思い切って甘えられることへの喜びと心地よさである。「重いやろ?持つわ」という言葉も「ぺぱねぇは1,000円でええよ」という言葉も、私にとっては

「自分に甘えて良いよ!」

というメッセージにきこえる。

外ではしっかり者を演じがちだが、家では末っ子・甘えん坊大魔神の自分としては、他人に対して肩肘張らずに甘えられる喜びは、自分で認識しているより、きっとずっと大きい。

これらの言葉は男女関係なく誰に言われても嬉しいのであり、逆に甘える対象と認識していない後輩に対しては、男女関係なく自分の方が多めに出すこともある。そして戦場たる議論の場では、心に鉄の鎧を着ている私は、甘えさせてくれる他者も、そこから生まれる心地よさも、そもそも求めていないのである。ロジックの前では常に、平等でありたい。


3.男は結局、男同士じゃなくて女の前でしか弱いところを見せられない

ここまで考えてきて思ったのは、ジェンダー格差社会ニッポンで無意識下に苦しんでいるのは、一部のバリキャリ女性と、多くの一般男性なのではないかということ。

他人に「甘えて良いよ」と言われて嬉しいのはきっと、私だけじゃない。人間は誰だって、誰かに甘えたい願望があると思う。フェミニズムが問題視するのは甘えること自体でなく、女性だから甘えていい、男性だから甘えるべきじゃない、と甘えることの是非がジェンダーと紐づけて語られることである。

私が実は甘えたがりなのと同じレベルで、甘えたがりの男性は世に五万と存在するはずなのである。そんな甘えん坊男性であったとしても、「男は泣くな」「お前は男だろ」と、社会からあるべき男性像を刷り込まれ、常時心に鉄の鎧をはめて臨戦態勢を敷かなければならないのかもしれない。

女性の皆さんは、自分の親しい男友達でもはたまた彼氏でも、自分の前だけでは甘えや弱さを見せることのできる男性に、心あたりがあるのではないだろうか、

男性たちは、個人の性格に関係なく、常時外では心に鎧を付け強い存在であることが強いられる、そんな社会で疲弊しているのかもしれない。例え会社の外の個々人の関係であろうと、心に鎧を付けた男同士が、自分の弱みを見せあえるわけもない。

「男だろ、泣くな」なんて手垢のついたセリフだが、生物学的に生まれつき男性のほうが心が強いと、多分最初から決まっているわけでもなんともない。

むしろ一般的に、女性の方が精神的にしたたかであると言われるのは、女性の方が、女友達にでも男友達にでも家族にでも、比較的多くの対象に自分の弱みを見せることが社会的に許容されていて、精神的に依存する対象を分散できるからなのかもしれない。


日本のジェンダー差別の改善は、女性の職場での地位向上だけでは本質的ではない。

男性だって女性だって、荷物が重たくて辛いときは「半分持って」と、先方の財政が怪しいときは「今日は出すよ」と、甘えることも甘えられることも性別に関係なく許容される風土が必要なのかもしれない。


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